中田粥「A circuit not turning」
サーキットベンディングというのは再現(再演)不可能な偶発的な音を引きずり出す行為そのものでありながらそれを録音物というひとつの固定化した作品に昇華させる、とても矛盾に満ちた行為に対して中田氏がどういう落とし所というか着地点を見出しているのかが何より同じサーキットベンダーとして非常に興味があった。自分も過去に何度も「サーキットベンディングの音源作品化」ということに対して自分なりにいろいろ考えたり悩んだりして試行錯誤してきたが未だにその明確な答えが出せていない。さてさて、中田氏はどんな答えを出しているのかしら…と早速彼の新作CDを聴いてみた。
延々とピキッとかザザッとかガリッという感じの音が続く。時々バリバリバリッ!と強烈な音。リズムがあるわけではなくひたすらにいろんな表情を持ったノイズが飛び散る。これがたまらなく気持ちがいい。多少はエディットされているとは思うが恐らくは即興演奏そのまま一発録りだろう。全く迷いがない。羨ましいぐらいに迷いがない。一切阿ったりしていないところが素晴らしい。
実は今、自分の次の音源作品を録音中なのだが今ひとつ方向性が定まらず、ただただ音を録りためているだけの状態がずっと続いている。でもこの「A circuit not turning」を聴いてちょっと踏ん切りが付いた。オレもヘンに迷ったりせず素直にやろうっと♪(笑)
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