COLECO Talking Teacher

2年前の2021年、4月の終わり頃に日本ノイズ界を代表するあのT.美川さんから突然のDMが!うわ、なんか怒られるのかも!と一瞬ビビったが(笑)サーキットベンディングマシンについての問い合わせだった。

今はもう活動を停止しているAlien Devicesという海外の有名サーキットベンダーが製作した英語学習マシン「Talking Teacher」のサーキットベンディング作品の修理依頼。もう何年も前から電源が入らなくなってしまったけどダメ元でいいから直るようであればお願いしたいということだった。果たしてオレに直せるかどうかは分からないけど(もっぱら壊す派なのでw)とりあえず診させていただきます、というわけで一旦預かることになった。
これまでに「Speak & Spell」は何台か改造した経験はあるけどこの「Talking Teacher」は初めてのトライ。しかもあのAlien Devices製ということでいささか緊張気味に開腹。ハンダ付けや配線の取り回しやスイッチ類の取付位置など、非常に丁寧な仕事でさすがだなぁ!と感心しきり。中にサインが書かれてたりするのかなと思ったが特に何も書かれていなかった。名前や日付けやシリアルナンバーを嬉しがって書いてる自己顕示欲の強いどっかの誰かさん(オレだよ!w)とは大違い。

さて、とりあえず新品の乾電池を入れてスイッチオンしてみるが何も反応がない。改造されている箇所には不具合は無さそう。増設されたスイッチやツマミなどの動作も正常。タッチフィルムの断線が考えられるので、迷路を辿って基板上のポイントを直接ショートさせて強引に電源を入れてみたが、画面に象形文字が表示されるだけで全然ダメ。途中、一度だけ正常に電源が入って「HELLO」の文字が!これはひょっとすると電解コンデンサの容量抜けの可能性があると判断し基板上の6個のコンデンサを全交換してみたが…これもダメだった。

とにかくいろいろ試してみたがもう完全にお手上げ状態だったので「すいません、直せませんでした…」と連絡をさせていただき一旦終了。美川さんからは「もう直らないモノは返送するのも送料がかかってもったいないだけなのでそっちで処分してもらっても大丈夫ですよー」とおっしゃっていただいたが、何だか捨ててしまうのはもったいなかったのでこのまま手元に残しておくことにした。

それ以降、アトリエの片隅に放置されたままの姿を見るたびに「あぁ、直せなかったなぁ」とか「オレはまだまだだなぁ」て感じで何となくずっと心の奥底に引っかかるものがありつつ2021年が過ぎ、年が明けて2022年の1月にeBayで動作OKの「Talking Teacher」を入手。直すのはもう完全に諦めて、コイツでAlien Devicesのクローンマシンを作ることにシフトチェンジ!とは言え、メインのICへのハンダ付け作業が面倒だったり、ライヴや他の製作案件などでまとまった時間が取れなくて(言い訳)なんだかんだで結局さらに1年が経ってしまった。

そして先日、ついに重い腰を上げてクローンマシン製作に着手。まずはAlien Devicesの改造ポイントをメモり、ひとつひとつ検証していく。やはり有名サーキットベンダーが探り当てたグリッチポイントはとても吟味されていて素晴らしい。再現性も高いし、グリッチ時のインパクトも凄い。恐らく片っ端から試していって篩にかけていったんだろう。それに費やした時間と集中力には脱帽だ。ただ1箇所だけ「ん?」というポイントがあったので、そこだけは少々手を加えた。あと、せっかくなのでLEDも付けてみた。さらにサインも入れてみたw
というわけでこのクローンマシンは美川さんのところへ旅立つことになった。今後インキャパのライヴやいろんなレコーディングなどで活躍してくれると思う。美川さんファンとしてはちょっとした優越感w 個人的に非常に勉強になった案件だった。良い機会を与えてくださった美川さんに改めて感謝。

Kaseo [bEnt or diE?]

circuit bending ライヴやイベントのお誘い、お問い合わせはkaseo@mac.comまで。

0コメント

  • 1000 / 1000