深呼吸

まだ常時接続のインターネットというものが普及する前のNIFTY-Serveが全盛だったパソコン通信時代には、ネット上に投稿するのにオフラインで何度もテキストエディター上で推敲に推敲を重ねて練りに練ったテキストを、メールの送受信やフォーラムの会議室のログを自動で取得して従量課金を抑えるために最短時間でのネット接続で済ませるプログラムを利用して手早く送るということをやっていた。しばらくして夜11:00から翌朝8:00までは通信費無制限というテレホーダイなるサービスがNTTで展開されるようにはなったが、今のようにほぼリアルタイムでのやり取りが可能な現代と比べると、何とものんびりとした話しだ。逆にそのオフラインの時間というものが存在していたことで、ネット上で議論めいたことが起こりかけた時などにはお互いにクールダウンする時間の代わりみたいなものだったような気がする。「はぁ?バーカ、死ね」なんてひと言を相手に吐こうにも、テレホーダイ以外の時間帯だと通信費が課金されるので非常に気を使う。当時は炎上だとか荒しなんていうのは、わざわざ時間と金を使ってやることじゃない感じだった。

別に荒れたからとか煽られたからとかそういうわけではないんだけど、そんな時代の「ちょっと深呼吸する」みたいな感覚が自分の中で今は必要なんじゃないかという気がして、ネットとの付き合い方をもう一度自分なりに考え直したいと思ったのがツイッターを辞めた動機のひとつでもある。

でも、あの時代は良かったとか言うつもりは全然ない。常時接続な今の時代はとてもありがたいしいろんな場面で恩恵を受けているし、昔に戻りたいなんてことは全く思ってない。ただ、ネット上での人と人とのコミュニケーションに於いて「深呼吸する」ということが難しくなってしまっている今の時代ってどうなの?という疑問が何となくあって、そういうことを垂れ流しではなくキチンと自分なりの記録として残しておきたいと考えて始めたのがこのブログだ。

うまく言えないけど、シンセサイザーの世界で例えるとデジタル技術が発達して逆転現象的にアナログが再評価・再現されるようになってきたのと同じように、常時接続でリアルタイムなネット社会だからこそ「深呼吸する」技術もそろそろ発達してきてもいいんじゃないかと思う。

Kaseo [bEnt or diE?]

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