Texas 2000

4年ぐらい前にヤフオクで入手したこのカセットテープ。確か「Speak&Spell」という商品検索キーワードでヒットして、何だか面白そうな予感がしたので落札してみた物。46分テープのA面にMELT COWBOY、MODEL 2050、POWER RIDER、PANCAKEの計4曲が入っていてB面は無音。サーキットベンディングされたSpeak&Spellが随所で使われていて、どうやらサンプリングではなくほぼ一発録りに近い感じで録音されたもののようだ。いつ頃リリースされたものなのか全く分からなかったが、グループ名から察するに、恐らくは1990年代の終わり頃だろうと思われた。

ネットでこのグループのことを検索してみたところ、なんとYouTubeにライヴ動画がアップされていた。1999年のライヴらしい。この時代にサーキットベンディングを取り入れたサウンドを展開しているというのはかなりの先取り感覚だ。自分がサーキットベンディングに出会ったのが2004年頃で、実際に始めるようになったのが2005年。その当時でも日本ではサーキットベンディングの情報なんてほとんど入ってこなかったし、その言葉や概念自体も全く浸透しておらず、ほんのひと握りの人たちだけの間でひっそりと盛り上がっているだけだった。その数年前にすでに自分たちの音楽としてサーキットベンディングを取り入れている人たちがいたというのはかなり衝撃だ。引きで撮られている映像なのでメンバーの顔や手元は分からないが、確かにオモチャっぽい楽器のマニュアル演奏によるライヴのようだ。

こりゃいろいろお話しを訊いてみたい!とは思ったが、如何せん連絡の取りようが無い。このライヴ動画以外、このグループに関する情報はほとんどヒットしない。それでもしつこくググっていくと、元メンバーだった人のMySpaceを発見。いきなりで失礼かとは思ったがとりあえず無視されるのを覚悟でメールしてみたところ、とても丁寧な返信をいただいた。以下、元メンバーSayakaさんへのメールインタビュー。

・Texas2000は「てきさすにせん」とお呼びすればいいのでしょうか?
「はい。てきさすにせん、で間違いありません。Texas Instruments社のおもちゃのみで演奏するコンセプト。サーキットベンディングしたSpeak&Spellなどから発生するノイズのみでオーディオ録音しており、サンプラーやシンセサイザー等MIDI音源も一切使用しておりません。まだ2000年になってない時期に、ちょっとだけ「未来感」を含ませたバンド名を、とのことでリーダーの吉井がネーミングしました。」

・メンバー構成を教えてください
「S.OSADA、S.YUMI、T.YOSHII & T.2000です。メンバーは私の前に参加していた者もおります。リーダーの吉井(坂井)俊哉は「8分のバニラ」というバンドで96年頃まで活動をしていたようです。」

・活動期間を教えてください
「1998年から1999年頃かと思います。」

・結成までのいきさつを教えてください
「下北沢のレコード屋さんに張ってあったメンバー募集の広告をみて、私がリーダーの吉井に連絡を取ったのが参加のきっかけです。バンド自体は恐らく97年頃に始めたのかな、と思います。」

・カセットテープ以外にリリースされた音源はありますか?
「ドイツ、ケルンのA-musikというレーベルからの7inchのリリース依頼がありましたが、言葉と距離の壁により、なんとなくうやむやになってしまいました。残念です。カセットテープはロスアプソンやmanual of errorsで取り扱っていただいていたと思います。」

・当時、メンバーが聴いていた音楽や参考にしていた音楽を教えてください
「思いつく所では、バンド募集の広告にも書かれていた、Silicon TeensやBruce Haack, Stereo Total, Silver Applesなどでしょうか。モンドミュージックと呼ばれはじめた音楽の中でも、ピコピコエレクトロニックなものや、主に60年代70年代のMoogサウンドなどを好んで聴いてました。」

・各メンバーのその後の活動は?
「その他メンバーの現在については不明ですが、私本人は、その後数年は東京を中心に、現在はベルリンに居住してDJとして活動しております。」

・YouTubeにアップされているライヴの会場はどこですか?
「渋谷道玄坂上にあった「宙ーchu」という箱だったかと思います。」
Kaseo [bEnt or diE?]

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