歌うことをやめた日
今は活動休止中なんだけど、30年ぐらい前から「KATE」というテクノポップユニットをやっている。主に作詞とボーカル担当。
いわゆる宅録ユニットとして音源制作を中心とした活動だったんだけど、時々ライヴなんかもやっていた。
2001年に、ネットを通じて仲良くなったアーティストさんに誘われて京都の某ライヴハウスで演奏させていただいた。自分自身がライヴ慣れしていないせいもあり、いろいろと細かい失敗はあったがそれなりにこなせたし、対バンの人たちの演奏も凄かったし面白かった。思いっきり平日の夜ということもあってお客さんの入りは非常に少なかったが楽しいライヴだった。
ライヴ終了後、そのままライヴハウスで食事をしながらの軽い打ち上げ。その席で対バンだったバンドの人からこんなひと言を言われた。
「歌うまいねえ!カラオケみたい(笑)」
一気に楽しい気分が吹き飛んでしまった。もちろん自分はボーカリストだなんて思っていないし、歌で自分を表現するとかそんな大それた気は全然ないが、完全否定されたような気分になってしまった。「お前なんかがステージで調子こいて歌ってんじゃねーよ」と言われたような気分。いや、多分本当にそういう意味で言われたのだろうと思うが。
とりあえず適当な愛想笑いでその場はごまかしたが、帰りの車の中で泣いた。悔しくて泣いた。disられたことが悔しかったし、disられるような内容のライヴをやった自分自身の恥ずかしさや未熟さに泣いた。もう自分は決して人前では歌わないと誓った。
それから4年後の2005年に、これまた京都の別の某ライヴハウスでKATEがライヴ演奏する機会があり、そのライヴが自分のボーカリストとしての最後のライヴになった。以後12年間、人前で歌っていないしこれからも歌わないだろう。
あの時disられたことで、人前で何かをやるということの意味を理解できるようになったので今は感謝している。
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